英語の大学入試の特徴と指導上の留意点
1. 日本の英語の大学入試では日本語力が必要です。
外国の英語の大学入試とは異なり、日本の大学入試では日本語力が必要です。英語から日本語への和訳問題では当然必要となりますが、自由論述型作文の場合でも、生徒は英語の文章を書く前に日本語で段落構成図を書く必要があります。このような点は、現代文と英語を教える際には、かなり重複しています。そのため、二次試験で国語が課されない理科系の生徒の指導の際には、英語の指導時間に日本語力をつけさせるよう注意を払う必要があります。
2. 生徒ごとに、重点を置くべき点が異なります。
子供の頃から長い間英語を勉強している生徒は、すでに基本的な文法を習得しているか、高い音声弁別能力(音を区別する能力)を持っているかもしれません。そのため、試験に必要な要素である文法、構文、速読、リスニング、作文の指導はクラス全体で一律に行われますが、強化すべき点は生徒ごとに異なります。また、各能力が向上しても、その総和が必ずしもテストの得点の増加につながらない場合もあります。したがって、指導する中で一貫した個別のガイダンスを行うことも重要です。
3. 聴解力テストの本当の難しさは、英語だからではありません。
どの科目でも授業中に先生の言葉を集中して聞いて、中身をしっかり理解することがきる生徒はほとんどいません。聴解力テストでは、この聞き取り能力を伸ばす必要がありますが、これは習得が非常に困難な技術です。英語の難しさとは何の関係もないのです。また、TOEIC等のテストとは異なり、新しい共通テストのリスニングでは、文章を素早く理解するだけでなく、情報を迅速に処理する能力も必要です。この点にも留意が必要です。
4. 正しい反復トレーニングが重要です。
言うまでもなく、外国語のスキルを伸ばすには繰り返しのトレーニングが必要です。しかし、同時に、生徒がその応用を考えずに、ただ反復トレーニングだけを繰り返すことは、非常に非生産的です。スポーツのトレーニングと同様に、実際に入試で使う場面を考えない勉強は、悪い癖を身につけさせてしまう可能性があります。最悪な例は、スピードを無視したトレーニングです。たとえ正確さ犠牲にしたとしても、問題を解く際には、作業時間を短縮させる必要があります。この悪癖をやめさせない限り、「もっと時間があれば…」と生徒は言い続けるでしょう。とりわけリスニングテストでは、作業時間を短縮できないと、悲惨な結果につながる可能性が高まります。
記:英語科 武田秀久