実践形式の演習について

 1回目の模試を受け終えたこの時期から、徐々に実践形式の演習をやろうとする受験生が増えてきます。勿論どんどん演習を進めていった方がいい人もいますが、皆が皆演習をやればいいというものでもありません。今回は演習について考えてみましょう。

 演習は実戦形式、つまり本番と同じ難易度の問題を、本番と同じ制限時間で解くものです。当然ある程度の基礎力が身についていないと、演習から多くを得ることができません。模試で、基礎力が全くない、苦手科目を受験した時のことを思い出してみると分かるでしょう。試験時間の三分の一もかからないうちに終わり(つまり、解ける問題が殆どない)、残り時間を寝て過ごした経験はありませんか?そのため、実戦形式の演習を行う前提として、ある程度の基礎力が身についていることが条件になります。どの程度の基礎力が必要かは、志望校や各科目の到達目標により異なるので、普段指導を受けている先生に聞いてみて下さい。もし必要な基礎力が身についていなければ、現段階では演習に充てる時間を基礎力養成のために振り分けた方が無難です。

 ある程度基礎力が身についていれば、実戦形式の演習に取り掛かるといいでしょう。その際も、ただ演習を繰り返すだけでは意味がありません。必ず制限時間を設け、時間内で解くよう取り組みましょう。結局のところ演習の目的は、本番さながらの条件の下で、合格に必要なパフォーマンスが出せるかを検証するためです。演習終了後は、良かった点、改善点を挙げ、今後の学習で何を行うか、次回の演習や模試でどう解くかを明確にします。これにより、今までの学習がいかに独りよがりで、本番には役に立たないかに気付き、それをバージョンアップさせることで、実践でも役立つ学習に変えていくのです。

 実戦形式の演習を行うことは、合格に近づくために必要不可欠です。ただし先に触れた通り、基礎力が無い場合は、先ずは基礎力を早急に仕上げましょう。その後実践演習を学習に組み入れます。演習後は必ず反省を行い、今後の学習をより本番で実力を発揮できるものにするよう変えていきましょう。演習をこなすだけの人と、上記のように演習に取り組んでいく人とでは、後に大きな実力の差となって表れます。同じ時間をかけて行うのであれば、より成果が出る方法で取り組んでいきたいものです。
記:英語科 原貴弘