志望する学部や学科はどうやって選べばいいのか?(新高2・3年生に)≪その1≫
私が色々な進学相談会の場で、多くの高校生から「大学進学相談」を受けた経験から申し上げれば、最も相談内容が多かったのは「志望する学部・学科をどう選ぶべきか」でした。勿論、「具体的な大学の選び方」や「奨学金について」や「勉強のしかた」等の相談も多々あったのですが、何といっても多かったのは、「やりたいことが見つからない」や「学部・学科の特徴を手短に教えて」のような学部・学科の選び方であったと思います。そこで、今回は高校1・2年生(新2・3年生)を対象に、その問題についての私見を述べてみたいと思います。
話を進める前提として「人気の学部や学科の系統は時代によって移ろうものである」という事を強調したいと思います。例えば、少し前までは法学部の人気が高かったのですが、弁護士の人余りが知られると急に人気が低下して、暫らく不人気をかこっていたのですが、ここへ来てコロナ禍による景気の悪化に伴い人気が復活しつつある事や、人がまだ足りない医師をめざせと、やたらに医学部人気が高まってみたりしてきたこともご存じの通りです。以下学部・学科の選び方を考えるうえで、①やりたいことがはっきり自覚できる場合 と ②やりたいことが決まりそうもない場合 に分けて考えてみたいと思います。
① やりたいことがはっきり自覚できる場合
私は大学での学びを職業と直結して考えること自体は間違っていない、とは思うのですが、社会に出てからの有利不利ばかりを気にしてそれが強調されすぎるのも、大学の選び方としてちょっと歪んでいるような気がします。
大学は、高校時代までよりもはるかに「好きなことを思う存分できる」場であり、大学生の身分を有する期間はそれができるという、この上ない貴重な期間なのです。好きでもない分野に社会のニーズがありそうだからということで入っていっても、自分の持てる力を充分に発揮できるわけではありません。だから、やりたいことがあるのなら、やりたいことができるところへ行くべきだと思うのです。それが、学部・学科選びの基本であるはずです。そう言われて、即座に「自分は〇〇をやりたい!」と思い浮かぶ人は、ためらわずにチャレンジしてみるべきかもしれないですね。やりたいことが自覚できるというのは、それだけで「能力」なのかもしれません。大学でその能力を充分に伸ばさない手は無いはずです。
ただし、その際に付け加えておかなければならないのは、「自分の志望と適性が一致しているか否かを、なるべく客観的に自己診断する必要がある」ということです。いくら自分が○○をやりたい、と思って志望しても、その志望の方向に自分の能力が全く追いついていなければ、適性が無いという事になって、それを達成できるとしても、そのためにかなりの時間と費用を要する場合があるのです。つまり、志望と適性が一致しないときは、それを成就するのに相当な時間と費用が必要で、それが可能かを自己診断する際に、誰かのアドバイスを要するかもしれません。周囲の社会経験が豊富なアドバイスが必要な所以です。
②は・・・次回へ続く
記:情報室長 高縁博