「お子様を大きく育てます」
これは当校の小中学部が掲げるフレーズです。
「教育」の「育」の文字は、「育(そだ)てる」「育(はぐく)む」と読み方があります。
辞書で引けば、「育てる」は“能力などが伸びるように教え導く”、「育む」は“大事に守って発展させる”などとあります。この「育」にまず注力しなければ、どんなに「教」に注力しても伸び悩みます。「育」は心の部分が大きいです。褒めたりされると嬉しいものです。それにより信頼もします。また困ったら相談もします。さらに尊敬する人についていこう、真似しようと思います。いいことばかりです。ただ良いことも悪いことも真似るのが子どもです。そうであれば良いことを真似させたいものです。
小学生は特に成長著しい時期です。この時期のこどもの教育についてはどの保護者も考えます。いろいろな本もたくさんありますが、今回はその「育」に注視して記載したいと思います。
どの保護者も「言われなくてもやる子」に育てたいと思います。いわゆる自立です。自立には段階があります。いきなり自立はしません。最初は親の意に反して、子どもは自分からはなかなかしません。
「育てる」・「育む」ためには、最もベーシックなところから行う必要があります。
それは、「保護者も“一緒に行う”こと」です。そんなことはわかっていますという方が大半だと思います。
ただ今一度思い返してみてください。
A:読み聞かせはしていたが、その内容についての質問はせず感情の共有はしていないかも?
B:段々一人で読めるようになってきたから、本を与えるだけで内容についての質問は最近していないな??
こんなことありませんか???
保護者が一緒に読書をするとその本の内容について質問は容易にでき、子どもが再度頭を働かせて本の内容を思い出し考え、また感情を共有するという大切な時間を作ることになります。また身近な人(保護者)の読書の姿を見たり、その本の感想を聞くことにより子どもも同じ本を読もうとマネします。興味を持ち繰り返し読むようになったらしめたものです。
ちなみに最近の入試は特に「文章読解力(文章を解析する、もっと言えば言葉を咀嚼できる力)」が足りないと問われていることに対して正確に答えられない作りになっています。保護者が子どもに対して、言葉に興味を持たせることは子どもにとって大きな力になります。その理由は言葉というフィルターを通してすべてのことを学ぶからです。もしそのフィルターが目詰まりを起こしていたらどうでしょうか?当然知識の吸収速度に違いが出ます。同じ方法を辿っても学習効果が異なるのはこの点にあると考えます。
今回は読書を例にあげましたが、「文字に触れる大切さ」ととらえてほしいと思います。
C:問題集をただ買い与えてやらせているかも?
興味関心を持たせるため、学習習慣を作るうえでも実は同じ問題集を保護者も一緒に解くようにしている人は案外少ないものです。
D:わからない言葉が出たら「調べなさい」と言ってしまっているかも?
“一緒に”調べることは、わからないものに出会ったら「調べる」という習慣化につながり、学習の姿勢を構築する上で重要なことになります。
例えば「お母さんはいっぱい言葉の意味を知っているのは辞書をよく引いていたからだよ」などと話していると普段の実生活の中で「お母さん、本当によく知っている」と子どもなりに感じ取るもので、真似て学ぶ姿勢が構築され続けていきます。
もちろん手を放す時期はやがてやってきます。その判断は最も近くで見ている保護者が行います。早すぎてもだめですし、遅すぎてもだめです。幼少期から意識して培っていれば小学校の4年生くらいまでには、子どもは習慣化できるようになります。
いやーもうそんな時期終わっちゃったよ、という保護者もいると思います。
でもまだまだ子どもは子どもです。周りとの比較だけでは大切なことを見落とします。多少の時間はかかっても、じっくり子どもがしたいものを見つけ実現する手助けをすることの方が、場当たり的に周りを意識して慌てて行うより子どもが大人になった時に良かったと思えるでしょう。 当校は個人に対する指導です。それを長年行ってきました。みんな顔も違えば成長速度も異なります。そのような理解は「教」や「育」を行うための前提条件と考えています。当校は、その子の成長に合った「育てる」・「育む」を意識して“大きく育てます”。
記:教務部長 井尾敦