暗記について

勉強では、殆どの科目で暗記が必要になりますが、暗記が得意な人とそうでない人がいます。人によって暗記の向き、不向きは多少ありますが、効率よく暗記できるかはやり方が大きなカギを握っています。以下で暗記の方法について考えてみましょう。

【暗記の徹底度】…「何とか思い出せる」で終えるか、「即座に絶対の自信を持って言える」まで覚えこむか。

「やっと言える」仕込み度合いでは、すぐに頭から消えてしまいます。「やっと言える」から「絶対の自信がある」状態に仕上げるには、そこからさらに多くを繰り返すことになります。繰り返す回数が多ければ、記憶の定着は当然良くなります。勿論そこまで仕上げても時が経てば忘れてしまいます。ただ、徹底して覚えこんだ場合、2回目は1回目より楽になります。3回目になると、覚え直しの時間、労力は大幅に減ります。一方、かろうじて言える状態で終えた場合、2回目の労力は1度目と殆ど変わりません。3回目も同様です。楽になっている実感をいつまでも得られず、暗記は辛い作業のままです。

【覚え直しの回数】…1周で終えるか、何周も繰り返すか。

単語集を1周で終えるか、何周も繰り返すかで、記憶の定着度は異なります。2周、3周と繰り返すにつれ、「楽になってきた」という実感が出てきて、暗記事項の出力がスムーズになり始めます。さらに4周、5周…と繰り返すと、覚え直しの時間も当初の数分の1になり、即座に出力できるようになります。

【覚え直しの頻度】…数か月後に覚え直すか、数日後に覚え直すか。

1度暗記したものを数か月後に再び覚え直すのと、数日後に覚え直すのとでも、違いがあります。数か月後では、折角覚えたことも殆ど記憶に残っていなく、暗記の負荷は軽減されません。一方、数日後に覚え直す場合、記憶はまだ残っているので、仕込み直す労力も少なくて済みます。つまり、単語集なり用語集を1冊覚える際、最初のページから最後のページまでページ順に覚えていかない、ということです。代わりに1冊をいくつかのセクションに分け、各セクションの終わりまで進んだら、そのセクションの最初まで戻り、そのセクションを数回繰り返す、ということです。時間も短縮でき、通しで回すよりも少ない回数で覚えられます。

暗記事項をしっかり覚えると、出力に時間がかからなくなるので、問題を解く時間が短縮できます。出力時の脳への負荷が減るので、深い思考を要する他の作業に労力を割けます。とつとつとしか言えない状態では、出力に時間・労力を要し、制限時間内に問題が解けなかったり、難しい問題に対処する容量がなくなります。テストのときに使い物になるのは即座に出力できる知識だけです。暗記事項が役立つ状態になるまで覚えこみましょう。
記:英語科 原貴弘