辞書を引こう!

 「辞書を引けば引くだけ英語力がつく」とよく言われています。実際、辞書を引くことで英語が上達した人はこのことに同感するでしょうし、私も同じ意見です。一方で辞書の恩恵を受けていない人は実感が湧かないかもしれません。中には、「分からない単語の意味を調べるなら、単語集で調べた方が早い」と思っている人もいます。

辞書を引くことの効果はいろいろありますが、一つには対象となる語とその周囲の語句がどのように意味のまとまりを作るかを調べることができるという点があります。例えば、少し難しい内容になりますが、「企業の成功は従業員の献身と忠誠にかかっているため、アウトソーシング(企業経営の効率を高めるために、業務を外部委託すること)は企業文化にマイナスである」という文脈の後、”When employees see colleagues losing their jobs to outsourcing, this has a negative effect on morale.”という文が続いたとします。殆どの人は、employee:従業員 colleague:同僚 morale:士気 が分かれば、単語レベルで困ることはないでしょう。ただ、前から訳していくと、「同僚が仕事を失うのを従業員が目にしたとき…”to outsourcing”…ここをどう訳そう…?」と多くの人は、”to outsourcing”で躓くと思われます。そこで辞書で”lose”を引くと、「lose O1 to O2:O1(人・物)をO2(人・物)が原因で失う」(『ジーニアス英和辞典』より)という訳出があります。つまり、今回のloseは、その先の”to outsourcing”も含めて意味を取らないと、全体としては意味が完結しないことになります。殆どの単語集では、一部の単語しかこの確認ができないのです。 辞書には、このように周囲の語を含めた意味の取り方が載っているので、上手に使えば、自分の英語力向上に大きく寄与します。単に単語を調べるだけでなく、このようにコロケーションも含めて確認することで英語力は上がっていきます。皆さんも是非どんどん辞書を引いていきましょう。
記:英語科 原貴弘