待てない親、待てない社会、待てない本人

この仕事に就いて約半世紀、受験について思うこと。

志望大学合格は、粘って時間をかければほとんどの生徒は実現できる。学力定着度は個々に差があるから、時間内にできる生徒もいれば、オーバーする生徒もいるのは常。教育が農業に例えられる所以である。ところが待てない。

早熟の生徒を見出すことの価値を煽る。進学校はただただ学習進度を早める。ついてくる生徒だけを相手にする。早く学習できる生徒が優秀だという。何かがおかしい。

生徒の学習意欲にも、学習定着度でもそれぞれ個々に差があり、遅いからいわゆる能力がないとは言えない。遅咲きで成功している生徒は多々いる。なぜ急ぐのか、人生80年以上もあるのに。 生徒の力、人間の力は、想像を超えて大きいものだ。
記:理事長 福島新四郎