中学受験の動機と受験校の選定

 小中学部の西野です。
 クラズではまだ日が浅く、クラズ―ムに書くのも初めてですので、名前だけでも覚えていただければ幸いです。もっとも、この仕事自体はかなり長いので、その経験も踏まえて少しでも有益なことが書ければと思っております。
 「小中学生の悩み」というのが私に与えられた大まかなテーマなのですが、親御さんなどを含めたご家族での問題や悩みについて書いていきたいと思います。

 今回は、特にご相談が多い中学入試についてです。 
 小学生、特に4~6年生のお子様がいらっしゃるご家庭では、国公私立中学の受験について悩まれている方も多いことと思います。
 中学を受験したいというご相談を受けたときに、私は最低限次のことを確認するようにしています。
 Q:その学校に行きたいのか? それとも一貫校に行きたいのか? または(その地域の)公立中に行きたくないのか?

 ① 特定の国公私立中学に行きたいという場合は、それに見合う準備(学習)について説明していくことになります。もちろん、不合格になった場合にどうするかの話もしますが、たいていの方は「その場合は公立中に行きます」という答えになります。
 
 ② 一貫校に行きたいという答えになると、一貫校の学習の進め方や、大学入試に向けてのメリット(おおむね5年間で中高課程を完了できることや高校入試による学習の停滞がないことなど)や併願パターンについてのお話になります。
 
 ③ 3番目のパターンは厄介です。地元公立中入学回避のための受験、実は私が長年教えてきた学習塾が、こういう言うなれば「消極的受験」を希望する人が多い、言い換えれば公立中の評価が他地域よりも低い地域にあったのです。
私個人は、現在のその中学校は先生・生徒ともに非常に頑張っていると思っています。よって、このパターンについては説得する作業の方が多かったのですが(後述しますが、ミスマッチの不幸を生みやすい)しかし、なかなかイメージというのは払しょくするのに時間がかかり、受験とは言わないまでも、あの手この手の越境入学を画策するご家庭は多いようです。

 首都圏や関西圏とは異なり、札幌圏は私立中学が潤沢に選べる地域ではありません。そうなると②や③の場合には、生徒と学校のミスマッチ(こんなはずではなかった…)を生みやすくなります。
 ミスマッチを防ぐために少なくても、受験する学校を選ぶうえで、学校説明会や学校公開には必ず行く(これは学校の先生に覚えてもらう意味でもマスト)、学校の先生と必ず話をする、卒業生の進路が自分の希望にマッチしているかを調べる(特に大学の付属校・系列校である場合は、その大学の学部等も意識しておく)などの準備をすることが必要です。そして、それは少しでも進学する可能性のある学校はすべて(言い方は悪いがいわゆる「滑り止め」の学校についても)に対してもです。

 高校と違って、私立中学の場合は、退学しても公立中には入れます。故に、仮にうまくいかなくても公立に転校すればよい」という考えを生みやすいともいえます。しかし、それは本人はもちろん、親御さんにとっても精神的・経済的に大きな負担を生むことになります。
 一貫校は公立中学と大きく進度が異なるところが多く、中途での転校は未履修分野を多く生みます。自学自習するには困難がつきまといます。
 中学受験を志すときは、中学・高校の6年間をその学校で過ごすという強い決意を生徒本人とご家族で共有することが必要なのです。

 昔、私が教えた生徒の中で、公立中から公立トップ高へ進み、医学部へ進学したいという生徒がいました。それだけのポテンシャルは十分にある子と見ていましたが、小6の秋ぐらいに、学校で受験組の子たちに触発されたのか、
「力試しで〇〇中を受ける。合格しても行かないけど。」ということを伝えてきました。
「中学入試は小学校の知識を超えた独特の問題が出るから、それ相応の準備が必要だよ。何年もそれをやってきた子たちが多いし、無理しない方がいいと思うよ。」
と翻意を促したものの、結局本人の意思は固く、受験し、しかも合格しました。
 しかし、その後「辞退などもったいない」という周囲の意見に親も本人も揺らぎ出し、結局土壇場でその難関一貫校への進学を決めてしまいました。
 これが実は私の最も恐れていた状況でした。それでもうまくいってくれればいいと願ってはいましたが、結局1年で公立中に転校し、大変苦労することになりました。

 また、一方で、当時まだ中高一貫での一期生を出していない(実績がない)学校をあえて選んで進学した子もいました。
 その子と親御さんは、その学校に進学した後のことがしっかりイメージできていたのでしょう。私も、「本当にそこでいいのか?」と話をしましたが、「自分に合っているから」ときっぱりと言い切られました。そして迷いなく進学し、(それからというもの、その学校の先生には会うたびに「素晴らしい生徒さんをご紹介いただいてありがとうございます」と感謝されましたが、私の意思は実は微塵も反映していないのです)ずっとトップを維持した上で、京大に現役で進学していきました。

 中学入試は模擬試験とは違います。ましてや、周囲の評価を得るためのものではありません。是非、各学校を見て、先生の話を聞いて、将来のために成長できる環境をご家庭の総意として選んでください。
記:小中学部 西野丞