「呟き」①

今般、大学定員に関する地方創生策の追加として、文部科学省は首都圏の1都3県を除く地方の国立大について、2022年度から特例的に定員増を認めることを決めました。既に大都市圏の大規模な私立大の定員管理を厳しくして、28年3月末までは東京23区の大学の定員増を原則認めない対応を取ってきました。

2004年に国立大を法人化した後、18歳人口の減少や経営環境が厳しさを増す私立大への配慮などから、国立大の学部定員を抑制するため、原則として定員の拡大は認めてこなかったのです。さらにコロナ禍に伴う地元志向が相俟って、近年は地方の私大・短大の志願者の増加傾向となっていたのです。

そんな中、昨年夏に閣議決定された「骨太の方針」により、東京一極集中の是正策の一つとして地方国立大の定員増の方向性が打ち出され、地方創生に寄与可能性することなどを条件として限定的に許可することになってきました。

中教審の大学分科会が具体的な定員増の要件を議論してきたところですが、その要件は、◎自治体や産業界など地域と緊密に連携する ◎雇用や産業の創出に貢献する等 地方創生に寄与する内容であることとなっています。

今後、国立大から定員増の提案を募り、外部有識者らの審査会で認めるかどうかを議論することになりますが、せっかく一息ついていた地方の私大・短大の志願者が減少することになりはしないか…地方創生の名のもとに、地方の私大・短大が再び窮地に追い込まれることになりはしないか…地方の私大・短大にとっては心配の種は尽きないようです。
記:情報室長 高縁博