遠回りは面倒だが役に立つ ~英語リスニング編②-5 読解力こそ基盤~
その後、シェルダンの小説は手に入るだけ買って読んだ。
また、インドネシア語訳も主だった作品で出ていたので、これもすべて読んだ。
英語で読むのとインドネシア語で読むのとでは作品世界の雰囲気が少々異なってくる。だから、お気に入りの小説を二言語で読めば、二度楽しめるということになる。もっともそれは翻訳の出来次第にもかかっている。
日本語ではシェルダン作品は「超訳」されているらしいが、そもそも小説をただ速く読めばいいというのは貧困なる精神のなせる技としか言いようがない。そうしたい人はあらすじだけを読めばいい。小説はじっくりと味わうべきである。
また、翻訳とは、書かれていることすべてを別の言語に置き換えるものであるべきだ。特に小説では最低限それだけは守ってもらいたい。そのうえで原作の雰囲気までを伝えられるのが良質の翻訳だ。例えば、村上春樹の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」であり、押川典昭の「人間の大地」から始まるインドネシアの小説家プラムディア=アナンタ=トゥール四部作だ。
今回まで5回にわたりイングリッシュ=アドベンチャーから「カリマンタンでのシドニー=シェルダン」、そして読書・翻訳に関するまで取り留めもなく書いてみました。リスニングの学習法から逸脱しているようですが、リスニングだけ単独で力を伸ばせるものではなく、読解力が基盤になることを覚えておいてください。
今回もまた「遠回り」してしまいましたが、次回は「道草」をしたいと思います。
記:英語科主任 佐々木晋