模試になると点数が取れないという人へ

生徒から、授業は理解できるが模試になると点数が取れないという旨の相談を受けることがあります。

できない、点数が取れない原因の多くは、既習事項を習得していないからです。

古文で言えば、用言の活用の仕方、助動詞の意味・接続・活用、助詞の接続と意味、語彙、古文常識、和歌の修辞法の知識…ナド。漢文で言えば、重要漢字の意味、句形…ナド。多くの人は試験対策が不足(演習量が不足)しているのではなく、文章を正しく読むために必要な知識が欠けているのです。

必要なことは、設問のポイントを分析し、「どんな知識があれば正解できたのか?」を考え、不足している知識項目を洗い出し、テキストや文法書で調べ、不明なことは質問してひとつひとつ覚えることです。「演習量を増やしていたらいつか点数が上がるはずだ」というような「読書百遍意自ずから通ず」的発想では、浪人生活の10か月は短すぎます。

当校の国語の授業は、後期からは予習として問題を解いてきて、授業でその解説をするという形態の授業が多くなります。授業で扱った文章と全く同一の文章が本番で出題されることは基本的にありません。しかし、その文章を読むために必要な知識や考え方は他の文章で何度も出されているのです。

解説で説明された項目が10個あったとして、そのうち1~2個でもハッとしたこと(知らなかった!と感じること)があったら授業に出た価値は大いにあります。あとはその1~2個を覚えれば、その文章から吸収すべきことがすべて吸収できているということになるからです。むしろ、その数は少なければ少ない方が優秀な受験生です。既習事項がより多く身についていることを意味するからです。

解説型の授業で意識してほしいことは、「自分はスルーしていたけど授業では言及されていたナ。なぜ自分はこれに気付けなかったんだろう?」という分析と反省を経て、身についていなかったことを覚えるために具体的な行動をすることです。「あ~自分はこれに気付かなかったのかぁ。次は気付けるようにしよう。」と、頭の中だけで終わってはすぐに忘れます。大切なのは、ノートにまとめたり、メモを残したりなど、それを覚えるために何かしらの行動を起こすことです。
まずはひとつひとつ地道に知識を増やし、読みの正確性を上げていってほしいと思います。
記:国語科 木下直樹