漢文の白文に返り点をうつのがどうもうまくいかない話 1/2

共通テストや以前のセンター試験、二次試験などで、白文に返り点を打つ問題があります。例えば、「楚人有売珠於鄭者。」をもとにして、「楚人有(下)売(二)珠於鄭(一)者(上)。」というふうに()の部分を書きたす問題です。

これに書き下し文が「そひとにたまをていにうるものあり」などと付いていると簡単なのですが、それがない場合どこからどう手をつけていいかわからないというケースです。それどころか、そもそもなぜ日本語の順番をいれかえて、返り点が必要な書き方になっているのかワケがわからない、という疑問もいただきます。

第一に忘れてはならないのは、漢文の白文というのは古代中国語で、返り点や書き下し文とはその日本語訳である、ということです。返り点が必要なのは中国語と日本語で語順がちがうからで、その意味では返り点は英語にも使えます。

例えば、I have two balls in my hand.であれば I have(二) two balls in my hand(一) 書き下し文「我(I)、二つの(two)球を(balls)(in=置字)我が(my)手に(hand)持つ(have)。」などという具合です。

ここで重要なのは、返り点も書き下し文もやっていることは翻訳で、その限りで別の返り点や書き下し文もありえるという事実です。選択問題で選択肢にでてくるような返り点、書き下し文は訳の一例で、嘘の選択肢は解釈上ダメだ、ということになります。

こうなると発想の順番がかわります。つまり、白文→返り点つき漢文→書き下し文→現代語訳→内容解釈の順ではなく、白文→内容解釈→書き下し文→返り点という順に考察をすすめなければなりません。

ようするに返り点の問題というのは単に指定の順番になるように返り点をうつことを要求されているのではなく、白文の解釈・理解を要求する問題だ、ということです。
次回に続く。。。
記:国語科主任 佐谷健児