漢文の白文に返り点をうつのがどうもうまくいかない話 2/2
前回例に出した「楚人有売珠於鄭者」の場合だと
1.漢文はSVOの構文であるから、「楚人」がSで、「有」がV。
2.文末の「者」は「××者」という形で名詞節をつくるから「売珠於鄭者」がOとなり、「楚人」は「売珠於鄭者」を「有する」という内容になる。こういうときは「楚人に××者有り」と意訳すればよい。
3.名詞節の中は「売」がVで「売る」、「珠」が目的語で「珠を」とし、「於」は前置詞でtoとかon,inを示すから、「於鄭」で、「鄭に」とする。
4.結局「珠を鄭に売る者」とすればよい。だから返り点は「売(二)珠於鄭(一)者」で、この「者」から全体のVである「有」に戻せば「楚人有(下)売(二)珠於鄭(一)者(上)」となる。と先に解釈・理解、構文把握ができたあとに書き下し文をつくって、それに合うように返り点を振ります。
結局、返り点の問題は内容解釈、構文把握の問題なので、漢文の構文・文法である句法の知識を身につけて、それを問にあわせて実践するということです。
返り点がうまく打てない人は返り点の勉強ではなく、句法の勉強をするのが近道というわけです。でも、句法がわかってしまうと、内容把握の問題も解けてしまうから、結局全部解けてしまうことになります。
記:国語科主任 佐谷健児