「進路が決まらない…」

進路が決まらないため勉強に熱が入らない、という人がいます。「志望校が決まらない」「学部・学科が決まらない」「文系・理系どっちに進めばいいか分からない」「やりたいことが見つからない」等々。そのため勉強に身が入らない…。そんな立場だったら、方向性が決まっていて、目標に向かって頑張っている友達を見ると、羨ましく感じることでしょう。

 「進路が決まっていなくても、大学に行くなら受験はあるのだから、決まるまでは勉強を続ければいいんじゃない?」とアドバイスする人もいます。ただ、その場合は往々にして、「何を目指すのかが決まってないのに、頑張れるわけがない‼」と強烈なカウンターパンチが返ってきます。「とりあえず勉強すれば?」「いや、無理!」と不毛な押し問答が繰り返されます。

 解決策になるかどうかは分かりませんが、個人的な見解です。進路が決まっていようがいまいが、高3の終わりに大学入試は間違いなくあり、入試に向けて準備はしなくてはなりません。「進路が決まってなくて、勉強を始めるのが遅れてしまって…」という状況が加味されて、得点上乗せ…ということはありません。そのため、決まっていなくても「とりあえず勉強する」しかないです。これが結論です。それに「将来の方向性が決まる」というのは、ある意味偶然の出来事が関係することが大きいです。友達の何気ない一言や部活動でのとある出来事がきっかけで、1週間後にあっさり進路が決まる場合もあります。一方でいつまでも「やりたいこと」が見つからない、ということもあり得ます。「40歳になってやっと見つかった。さてと今から頑張るか!」では思いっきり遅すぎます。偶然に任せて生きるほど人生は長くはありません。

 「これがやりたい!」というのがどうしても見つからなければ、やや後ろ向きではありますが「マシなもの」を選ぶという手もあります。「やりたくない」ものを消していき、残ったものを選択する。「文系、理系だったら、文系はイヤだな。国語は苦手だからなー」「理系の中でも、理学部って感じじゃないな。研究ばっかりってイメージだから(かなり偏見入ってます)」…という具合に。

結局のところ、「やりたいこと」というのは、自分と周囲の環境(他者、世間)について理解が深まって初めて見つかるものです。つまり色々経験することが必要です。極論になりますが、高校生の日常は「友達との関わり」「部活動」「勉強」が中心です。裏を返せば、友達との付き合い、部活、勉強以外の経験が乏しいのです。社会人と比べて圧倒的に経験値が少なすぎます。このような状態で進路を決めるのはある意味無理があると言えます。そのため、進路が決まっている人でも、その選択は必ずしも適切(自分にマッチしているという意味で)とは限らないのです。何が言いたいのかといえば、現段階で「やりたいこと」が見つかっている人もそうでない人も、今後様々な経験をするにつれて、方向性はいくらでも変わるし、見つかるということです。つまり、どうしても決まらないのであれば、あまり「厳密に」決めようとしなくても、だいたいのところで決めてしまっていいということです。どうせ後で「変わる」からです。勿論現段階で「これがやりたい!」ということがはっきりしている人はそれで構わないです。後で変わる可能性はありますが、現時点の気落ちを大事にして目指せばいいのです。結局のところ、自分が「本当になりたいもの」というのは、社会人になり、社会の中で揉まれ生きていくうちに、自分や世間というものが分かり、そこで初めて気づくのだと思います。それまでは、社会に飛び込んだ際に役立つ「道具」を身に付けることが重要で、そう考えると、「やっちまった~、○○という進路を選んで失敗した~」ということにはならないのかもしれません。

進路が決まっていなくても、何の問題もありません。ただ学力が足りないと、大学進学という上では選択肢が大幅に狭まります。いつか進路が決まった際にすぐにその方向に進めるよう、準備だけはしておいた方が賢明です弘。
記:英語科 原貴弘