変わる大学入試~2025年度共通テストから「情報Ⅰ」~

 2025年度共通テストから、「情報」が新しい科目として設置されることになりました。また2022年1月28日の国立大学協会の発表によると、「情報」の受験を原則必須とするということなので、6教科8科目受験もあり得るようになります。ただし、国立大学を受験する際、共通テスト「情報」の受験をあくまでも原則必須とすることだけが国立大学協会のほうから明らかとなっているのみで、実際にどこの国立大学が共通テスト「情報」の受験を必須とするかまでは今後明らかになっていくと思われます。

 また入試サンプル問題は、独立行政法人大学入試センターのホームページに挙がっています(https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html)が、あくまでも具体的なイメージの共有として作成されています。そのため、こちらに関しては、試験時間が考慮されていない、教科書との照合がなされていない、入試作問における点検プロセスをたどっていないなどを知ったうえで確認してもらえればと思います。

 この情報科目の設置の流れは2020年度から小学校で「プログラミング教育必修化」にともない、文字入力などの基本操作を取得し、新たにプログラミング的思考を育成することから始まりました。さらに2021年度からは中学校で技術家庭科において、プログラミング・情報セキュリティに関する内容を充実、2022年度に高校にて必須履修科目として「情報Ⅰ」を新設する流れとなりました。この「情報Ⅰ」ではすべての生徒がプログラミング・情報セキュリティ・ネットワーク・データベースなどについて学習します(現高1)。

 これらを学ぶ背景には、日本が目指すべき未来社会の姿としてのSociety5.0があります。この「Society5.0」(https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html)は、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、「超スマート社会」と記されています。具体的に記載すると、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決の両立実現を目指すもの」とされています。※もっと知りたい方は内閣府HPで検索ください。

 今後は、高度な技術により生み出されたAIを正しく活用できるように理解する必要があり、かつAIにはできず、人間にしかできないイマジネーションやクリエイティビティを働かせ、未知なる課題を論理的に解決する能力が求められます。

 今までは、情報に関する授業があっても何となく取り組んでいた生徒も多かったかもしれません。入試で使われる可能性が高いとなれば学習するしかありません。でも得られることも多いと思います。身近なものですので興味をもって取り組んでほしいと思います。
記:教務部長 井尾敦