今更ながら,今年の北大入試数学を振り返る2023

 2023年度に入って2か月が経ちました。今年度大学に合格した受験生も,そろそろ大学生らしくなった頃ではないでしょうか。
 さて,もう6月になってしまいましたが,今年の北大入試理系数学を振り返ってみたいと思います。去年の北大入試理系数学は,天変地異レベルの難易度でしたが,今年もその傾向は続きました(さらに難しくなったという声も少なくありません)。各大問における,私が感じた難易度および内容は以下の通りでした。

  大問1 普通orやや難(複素数平面と極限の問題)
  大問2 普通(空間座標の問題)
  大問3 やや難(微分法に関する問題)
  大問4 やや難~難(確率に関する問題)
  大問5 難(複素数平面についての問題) ※ ただし,最後の小問の後半以外は普通

 去年と比べて,解きやすい問題が少なくなったことも大きな特徴です。大問2や大問5の途中まではよくある問題ではあるのですが,計算量が多いため,本番で確実に得点することは容易ではありません。
 また,大問3(2)のように,答えの見当はついても,答案が書きにくいという問題もありました。
 大問4は,「三角不等式」という有名な不等式をテーマとした問題ですが,この不等式を証明したことはあっても,実際に問題を解く中で使ったことのある受験生は少なかったことと思います。
 私としては,第1問で一番差がついたのではないかと思います。見た目は数学Ⅲですが,半分以上は数列(数学B)の内容でした。応用力がある受験生は完答も可能ですが,見たことのない問題に慣れていない受験生は手も足も出なかったのではないでしょうか。ですから,難易度は「普通orやや難」としました。

 さて,難化が続いている北大入試理系数学ですが,数学の授業を担当している者として気になるのは,問題作成者の意図です。すなわち,意図的に難しくしているのか,それとも,難易度の調整が上手くできていないのか,ということです。いずれにせよ,確実に言えるのは,去年と今年の北大入試(理系)では,数学の点数よりも,英語や理科の点数が合否に大きく影響したということです。このことを,数学の問題作成者はどう思っているのか。このままだと,数学よりも英語や理科の勉強を優先する生徒が増えていってしまいそうな気がします。
記:数学科主任 新保幸希