「あとは演習を頑張ろう」というアドバイスを曲解してしまう人へ

クラズの授業は9月から後期に入り、授業内容が応用的な内容へと変わっていきます。
基礎的な項目がある程度定着してきたこの時期の受験生に向けた、「あとは演習を頑張っていこう。」というアドバイスがあります。受験生はこのアドバイスを文字通りに受け取って、今のこの時期からひたすらに問題を解きまくるマシーンと化してはいけません。「あとは演習を頑張れ」という言葉は、ほとんどの場合、単に「問題をいっぱい解け!」という意味ではありません。例えばこんな内容。

①「(読解上の知識や読解法はある程度定着しつつあるから、)あとは演習を頑張って(その都度知識の抜け漏れや読解の誤りを修正して)いこう。」

②「(覚えるべき知識も網羅できているし、読解も設問を解ける程度には正確にできているから、)あとは演習を頑張って(いろんな文章ジャンルや設問の形式に触れて、自分の解くときの考え方を解説の考え方に近づけて)いこう。」

上記の①②で見落としてはいけないのは、「演習をするのと同じくらい復習も重要である」という点が含まれていることです。

たしかに受験生の知識・学力レベルと目標とする地点との差によっては、本当に「あとは演習するだけ」という人もいることでしょう。しかし、今この時期に多くの受験生にとって必要なことは、ただひたすらに問題の場数を踏むことではなく、一つの文章・問題・設問・選択肢から得られる教訓を洗い出してひとつひとつ自分の中に取り込んでいくこと、つまり解いた問題を丁寧に復習することです。

 復習は演習以上に時間がかかる上、解説を読み込んだり一度考えた問題を再検討したりと、地味で面白くない印象を持つ人もいると思います。
「とにかく演習をたくさんこなせばいつか点数も上がる」などという、ある意味「あまりあれこれ考えなくてもいい」耳障りの良い言葉に傾いてしまいそうになっているそこのアナタ。

点数が上がるまでに解かなければならないその「たくさん」の問題量がどれほど莫大な量なのか冷静に考えてみてください。そして何より、浪人生活の10か月のうち半分以上が過ぎようとしている今、その「いつか」を待っていられる時間的余裕があるのか考えてみてください。「急がば回れ」という言葉もあるように、平凡な知能を持つ我々凡人が限られた期間の中で成果を上げるには、問題を解いたときに露呈した自分の弱点を客観的に把握し、それを一つ一つ潰していく(+αできればそれに関連する項目も)努力が欠かせません。
次回、国語の演習と復習のやり方を書きます。

記:国語科 木下直樹