[先生、これで何点ぐらい取れますか?]
二次試験対策の中でも、特に小論文や英作文は一人で勉強しづらい。書き方や考え方を教わったらすぐ出来るものでもないし、何より合格点がもらえるものなのか分からない。その際頼れるのはやっぱり予備校や高校の先生の添削指導ですね。
添削における教員の仕事は、①内容を適切かどうか判断して、②表記上・表現上のウィークポイントを見つけて、③もっと良い表現を提示する、という三点が普通なのだろうが、もっと熱心な先生は④それらを口頭で確認しながら指導する、もついてきます。本校英語科主任の佐々木先生は①②③のレベルが高い上、どんなに忙しいときでも④を必ずしていて、素晴らしい結果を毎年だしていらっしゃいます。リスペクト。
ただ教員・生徒側の考え方によっては、添削が害あるものになる場合もあります。というより、結構そうなってしまっている場合が多く見えます。
過去問の添削指導において留意しなければならないのが、それがそのまま提出されるわけではないという点です。本番は違う問題で必ず出るのでその作品自体の質を上げたところで合格に近付くわけではなく、生徒自身の思考力を鍛えなければならないのです。教員が時間をかけて添削したところでその作品自体のレベルや教員側のレベルは上がっても、生徒側のレベルは添削だけでは圧倒的に足りません。朱が入ったものを写して書き直しても足りません。
面接試験のない大学の志望理由書など、最終的にそのまま提出するものについては教員が添削して、生徒がそれを清書するというのは理解ができます。これは添削している作品がそのまま大学に提出するものであり、私はやりませんが極端な話、代筆すら可能だからです。文章を書く課題という点で同じなだけで、これらのアプローチの仕方が記述試験のそれとごちゃごちゃになっている場合がとても多く、非常にやっかいです。
自分の意見が論理的に示されているかが採点されているのならば、どうやったら相手に伝わるか自身で精査して試行錯誤することが本来一番の近道となるはずです。試行錯誤したものを添削してもらうのではなく、評価してもらうならば一定の効果は得られるでしょう。だとすれば、最初は教えるが、次は一緒に考えて、少しずつ手を放していって、最終的に添削だけにするのが恐らくは教員の仕事としては良いのでしょう。アイディアの出し方、段落の組み方、相手に伝わる表現の選び方……それら全て生徒が独りで出来るようにならなければならないので、最初からむやみに添削をするというのは皆さんのレベルをむしろ下げる行為であるわけです。それで長時間調べたり考えたり先生がしていたところで、それは先生の脳みそを鍛えられるだけです。
だから面倒臭がられても、面と向かってじゃないと英作文や小論文の指導は私はできません。生徒のためを思って必死にした作業や懇切丁寧な指導が、結局生徒の考える力を奪っている場合もあります。親切に手をかけてくれる先生が皆さんのレベルを必ずしも上げるわけではないのです。皆さんが必死に作業し、考えるしかないのです。
皆さんは添削指導を受けた一時間後、何を指導されたか全て言えますか。
記:英語科 許士祐之進