子育て・受験にまつわるよもやま話―No.7「義務教育」ということ
「義務教育」は、日本国憲法第26条に「教育を受ける権利」と「教育を受けさせる義務」の両面から定められている。と書くととても硬い四角四面の世界が繰り広げられそうですが、今回のテーマはこの「義務教育」にまつわるソフトの部分です。
最近とみに「中学受験」の傾向が増え、受験に求められるのは当然算・国・社・理の4教科が主流。
但し小学校で習う科目には上記の他に「音楽」「図画工作」「家庭」「生活」「体育」という各科目がある。又義務教育の後半、中学校でも英語を含めた主要5教科と言われる他に「音楽」「美術」「保健体育」「技術家庭」があって定期テストでは内申点にかかわるテスト結果として実技の他にペーパー試験が課される。しかし中学受験においても、高校受験においても主要教科だけの試験。そのためか、小学校、中学校を通して学ぶ体育や音楽、図画工作他、得意なものには積極的に参加しても、主要教科のようには、親も本人も殊更知識を得ようといった意識は持たない傾向にあるようだ。
もっとも中には算数や国語、理科といった科目よりこの音楽や体育・図画工作といった教科の方がむしろ好きでこの教科のある日は朝から張り切って通学する子もいるようだが。
子どもは生まれながらに「好きだ」「嫌いだ」という意識はないはず、しかし成長と共に、得意、不得意の気持ちから「嫌い」となってしまったりするのが学校で学ぶ教科。それでも日本は「義務教育」下で、内容についても教育期間の9カ年は少なくとも主要教科の他、美術的なこと、音楽分野、保健体育、技術家庭など、どの分野も満遍なく学びの中に与えられ履修する仕組み。そしてこれらの教科は大げさにいえば、より豊かな「人生」や「生き方」を広げることに直結する重要な要素を持っている。
実技の他に、例えば色彩の知識や造形の描き方などの基礎、音楽も同じく基礎になる「知識」、体育の知識など。成長していくにつれ子供自身にも役に立つ事柄満載、まさに実学。
「義務教育」ときくと自分自身はどうであれ「やらなければならない」といった感じを持つのかもしれない。しかし実は主要5教科も含めて、成長の一番著しい年代に、その後の人生を決定するような、豊富な知識の導入と豊かな感性の目を作る内容が盛り込まれているもの。 こう考えると苦手や不得意感にとらわれず又入試だけの目標にとどまらず、どの教科も、より積極的に取り組み学習、実践してみると今まで以上の広い景色、面白い世界がくり広げられるのではないだろうか。
記:事務局 福島喜久