単語を覚えるなら品詞まで

単語力不足でテストで得点が伸びない人は多いと思います。単語を覚えるのは、なかなか大変です。来る日も来る日も、ひたすら単調な作業を繰り返さなくてはいけません。私もほぼ毎日、英単語を暗記していますが、正直言って面白いものではありません。数か月後あるいは数年後に、今まで語彙力不足で読むのに苦労していた英語がストレス無く読めるようになるというささやかな喜びのために、無味乾燥な作業を繰り返しています。皆さんの中にも、「英語力を上げる!」という決意の元、あるいは目前に迫った単語テストのために「やむにやまれず単語を覚えることにした」という人もいるでしょう。

多くの高校生、受験生が単語を覚えようとしていますが、品詞も合わせて覚えることがとても重要になります。というのも、品詞まで覚えないと、折角覚えた単語が英語の意味を考える際に役に立たなくなるからです。例えば、”People who read literary works also have greater emotional awareness and superior social skills.”という文の日本語を考えてみましょう。

「文学を読む人は働き、又より大きな感情の気付きを持ち、そして優れた社会が技術を上げる」 ある生徒はこのように考えました。恐らくこの人は、literaryを「文学」、socialを「社会」(つまり、両方とも名詞)と覚えているのでしょう。そしてliteraryの直後のworksを「働く」、skillを「技術を上げる」(つまり両方とも動詞)と考えたのでしょう。しかし、よく見てみると、それでは主語がPeople(複数)なのに、動詞worksに三単現のsがついていることの説明がつきません。literaryは主に形容詞「文学的な」という意味で使われることが多いので、literary(文学)ではなく、literary works(文学的な作品=文学作品)と考えるべきところです。又、socialも「社会」(名詞)ではなく、形容詞「社会的な」という意味で使われるのが普通です。そのため、”superior social skills”は「優れた社会的な技術」となります。それらを踏まえて、先述の英語の意味を考えてみると、「文学作品を読む人は又、より大きな感情の気付きと優れた社会的な技術を持つ」となります。もう少し日本語として自然な表現にすると、「文学作品を読む人は、感情認知力も高く、社会的技術も優れている」となります。先の生徒は、literaryやsocialの意味を覚える際、「文学」「社会」で終えていて品詞まで覚えていなかったため、正確な意味、文構造の把握に支障が出てしまったのです。これでは単語を覚えても、実力が上がっていきません。

折角「単語を覚えよう!」という素晴らしい決意をしたのです。その労力に見合う恩恵を得るためにも「品詞」を覚えるという、あと一歩の努力を加えてみましょう。英語力向上のきっかけになるかもしれませんよ。
記:英語科 原貴弘