直前期で伸ばす人
共通テストが終わり、その結果を踏まえ、受験生は各国公立大に出願しました。毎年直前の追い込みで、予想以上の成果を出す人がいます。そのような生徒の特徴を挙げてみました。
①集中力がある
「行動にメリハリがある」、「オン・オフを使い分ける」とも言えます。そのような生徒は、常に「全力」というわけではありません。抜く時は抜いています(悪い言い方をすれば「うまくサボる」)。ただし、スイッチが入ると相当な熱量で取り組みます。集中している様子が傍から見ても伝わるので、用事があっても声を掛けにくい程です。それは1年間の動きにも当てはまります。普段はあまり「頑張っている感」がなくても、直前期のような「ここぞ!」という時は、毎日朝から晩までひたすら校舎で勉強をしています。「単位時間当たりの作業量×時間数」が莫大になるため、結果、直前期に習得する量は他の人と比べ物にならない程になります。
②作業にタイムプレッシャーをかける
直前期のある日、生徒から「すいません、タイマーを貸してもらえますか?スマホの充電が切れたので、タイマーで時間を計って問題が解けないんです」と言われました。その生徒は普段から時間を計って問題を解いているということです。試験に制限時間があるので、時間内に解く訓練は不可欠です。ただ解けるだけでは意味がありません。「制限時間内に」解けることが重要なのです。又、試験中に焦る最大の原因は、「残り○○分しかない」というタイムプレッシャーです。このタイムプレッシャーを普段からかけてきた人とそうでない人とでは、本番に対する認識が全く違います。普段でも制限時間を設けて問題を解くことは正直疲れます。しかし、平時にのんびりしない勉強をすることが、殆どの人が悩む「スピードの壁」を克服する解決策となります。
③期日内にどれだけの成果をあげるかを意識している
現在の自分の得点と目標点を比べ、各科目の本番で取るべき得点を算出していた生徒もいます。それを踏まえて、その生徒は直前期に時間をかけるべき科目とそうでない科目を分けています。直前期の時間には限りがあるのです。各科目の性質上、時間をかけて上がるものとそうでないものがあり、それにより時間配分を考えるのは当然のことです。
④現状を認識する
「自分の課題は数学。でも数学全部がダメというわけではなく、今までの模試で数列の漸化式と確率で得点できていなく、そのため得点が伸び悩んでいる。そのため、この2つで失点を少なくできれば、数学の得点が変わる」…直前期にある生徒と話した内容です。自分の苦手なことから目を背けずに、現状を見つめ、把握し、それに対して何を行うべきかを考えていました。その後、その生徒は直前期に毎日漸化式と確率の問題をこなし続け、本番の数学では自己ベストを大幅に超えました。
「常に判断している」「自分に厳しい」…そのように言い換えることができるかもしれません。しかし、上記のことは本気で「得点を上げたい!」と願った時に自然と考えることです。直前期に猛烈に頑張れる人たちに共通して言えることは、その「願い」、ひいては「志望校に合格したい」という気持ちが非常に強いということです。結局のところ、「義務感」だけでは勉強は長続きせず、生産性も上がりません。「なりたい自分のためにやる」という前向きな気持ちがあってこそ主体的に取り組めるのだと改めて感じました。
記:英語科 原貴弘