「将来、どんなふうになりたい?」
進路を考えるときに、「好きなものは何ですか?」と聞かれてもなかなか答えるのが難しいですよね。これと同じように「将来何になりたい?」という質問も同じだと思います。
質問の「何」には特定の職業が入ります。
学年が浅ければ浅いほど、「何」に入る前提となる「職の種類」がわからないこともその要因だと思います。またその職に就くためにどんなことを勉強するのかがわからないこともあると思います。
現代においてはインターネットで検索していけばかなり情報は得られますし、高校生活の中での進路講演会、予備校の教務の先生などとの会話などで知るチャンスはどこにでも転がっているのが現状です。しかし現実には、生徒から掴みにかかるのはそう多くはありません。学校、予備校に通っているのになんともったいないことか!と。
少し話は変わりますが、大学受験予備校というものは、大学に行くための受験テクニックを学ぶところではありません。
大学受験を通じて、「自分の人生を真剣に考える場」なのです。考えた末に、自分の未来に挑戦する方法の1つとして大学受験があり、それを支える予備校教員・職員がいるのです。
見つからないのではなく、探そうとしていないだけ。
これが長年見てきて思うことです。
だから、職の前に大学で学べる様々な学問系統を見せて、今の時点で興味がないもの×印をつけさせるのです。残りは多くとも少なくともOKとします。そこから残ったものを自分で調べる流れをとります。いろいろと調べていくうちに、向いているとかこれを学んでみたいと思うものは、1つではなく2つ、3つと出てくると思います。それでまずは良いのです。
好きなこと・夢はいくつあっても良いと考えています。複数追えるだけ追うことも長い目線で見れば無駄なことではないのかもしれません。追ってみないとわからないことも多々あります。
特定非営利活動法人ジャパンハートの最高顧問である吉岡秀人先生(小児外科医)は、ある映像のインタビューで次のように語っています。
『子供に「将来何になりたい」と聞こうと思ったときに、ふと思った。これからの時代に合わないかもしれない。「何」という部分は、医師、野球選手など1つの職業を指している。一人の人間には、一つの才能ではなく、いくつもの才能がある。これからは、その才能を組み合わせた人が、世界で活躍し、世の中から必要とされる時代になると思う。中略・・・「将来どんなふうになりたい?」と聞いた。』
これだと1つの職業ではなくなります。非常に良い聞き方だなぁと思いました。
どうです?
「君は将来どんなふうになりたいか?」
こう聞かれたら君は何と答えますか?
記:教務部長 井尾敦