受験で負ける理由

皆さんは心の底から自分の力不足を嘆いたことがありますか。あんなに頑張ったのに上手くいかなかった、と泣いたことはありますか。私は何度もあります。皆さんの負ける原因は大きく分けて3種類あります。①純粋な力不足、②戦略の欠如、③心の未熟さです。

 ①はもうお判りでしょうが、英語においてはA. 単語力不足、B. 文法力不足、C. 構文力不足、 D. 全体視の能力不足と分かれます。どの部分で引っかかるか、と言われたらこれらのほとんど、と皆さんは答えることでしょう。①A~Cで引っかかってる人のことを、一般的に基礎力不足と呼びます。Dについては、細かいところに拘らず要約を出来る、という力に限らず、例えば時間配分を決めて計画通りに動けるか、その計画が崩れたときに最善の方法を取れるか、なども広義には含まれることでしょう。

 次に②の戦略について話しましょう。「どう読むべきか」、「どう解くべきか」、という技術はどんな英文でも共通の部分と、問題によって変えるべき部分があります。A. そもそも文章をどう読むべきか、B. 〇〇の試験の大問〇はどう読むべきか、この2つには大きな隔たりがあります。②Aは例えば、「例があったらこうする」、「まとめの文は普通の論文ではこう書く」、「代名詞の正体はこう探す」などです。この分析なくして、「今回はとれた」「問題によって波がある」とクヨクヨ悩んでいるだけでは成長はありません。②Bについては想像しやすいことだと思うので割愛します。とにかく、②Bに安易に飛びつきやすいためか、②Aをおろそかにしている人が多い、というのが私の印象です。

 最後の③心の未熟さについてですが、これについてもたくさん種類があります。最初から例を挙げると「プレッシャーに弱い」、「集中力が保てない」、「自分に甘い」、「その時に解くべき問題に集中できない」……などがあります。私も教育心理や脳の作りを大学で少しは学んだ人間なので如何ともし難い事象が存在することはよく分かっていますが、これを克服しうる範囲内で失敗し続ける原因はA. 自分の心理特性を知らない、B. 本番を想定した練習が足りない、C. 本当は本気で成長しようとしていない、の3つが挙げられます。

 これらのどれが残ろうとも、結果を出せずに終わる原因になりえます。

 私は小学校・中学校においては、人並み以上に頭の良い人間だと自負していました。科目学習は少し苦手でしたが、読解する、理解する、類推する、整理する、ということにおいては「なんで皆こんなことが分からないのかよく分からない」と本気で思っているタイプでした。点数は取れませんが、「自分は頭がいい」と思っている青年でした。「自分は人より頭がいい」のに学年内順位下から3番目、という生活を長く送ってきました。

 それはそうです、いかなる教科においても①A~C、②B、③A~Cの部分で引っかかっているわけですから。自分は①D、②Aの能力は人より優れていると思っていただけで、上記のものが足りない人間が、果たして点数を取れるでしょうか?(勿論、①D、②Aもクラズの先生方と比べたら最下位な気がしますが。)

 結局、負ける人間は負けるべくして負けます。英語力がどうだとか、理系脳がどうだとか、自身の特性を慰めにしているうちに成長はありません。負け「た」ことは良いんです、失敗なんていくらでもしたら良いんです。でも、練習でも本番でも終わった後に正しく自己分析と反省を出来ない人間が、1回勝負の受験に勝てるとは思えません。どんな問題が出るかも分からない本番1回に、出題以外の負ける要因を残したまま赴くことが、どれだけ怖いことだかわかりますか。

 ①A~Cがある程度クリアできた人間が「点数に波がある」「取れるときは取れる」というのをよく耳にします。当たり前です、問題が違うのだからその度に同じ点数を取ることなんて普通できません。安定して同じくらいの点数を取っている人間がいたとしたら、全く成長していないと疑うと共に、ある程度の反省と自己分析の賜物と考える出来るようになってきていると考えましょう。というより、模試において毎回同じくらいの点数を取るのは、成長してなければできません。負ける要素を消していっているわけですから。

 出来るようになる、成績があがる、というのは毎回毎回の練習で自分が負ける要因を消していっている、ということだと理解してください。
 
 結局は毎回の授業や問題を通して、どれだけ自分のことを知れるか、それが少なくとも大学受験には必要なことのように毎日毎日感じるのです。

記:英語科 許士祐之進