国文法が面倒だという話2/3

なぜ「文法、文法」と古典の先生が騒ぐのかというと、現代語訳の問題、原因・理由説明の問題、読み取りの問題のほとんどが、文法問題または、文法を含む問題だからです。
例えば、今年の共通テストの第三問で、

問3 傍線部B「よくぞもてまゐりにけるなど、思し残すことなきままに、よろづにつけて恋しくのみ思ひ出できこえさせたまふ]の語句や表現に関する説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

①「よくぞ……ける」は、妻の描いた絵を枇杷殿へ献上していたことを振り返って、そうしておいてよかったと、長家がしみじみと感じていることを表している。
②「思し残すことなき」は、妻とともに過ごした日々に後悔はないという長家の気持ちを表している。
③「ままに」は「それでもやはり」という意味で、長家が妻の死を受け入れたつもりでも、なお悲しみを払拭することができずに苦悩していることを表している.
④「よろづにつけて」は、妻の描いた絵物語のすべてが焼失してしまったことに対する長家の悲しみを強調している。
⑤「思ひ出できこえさせたまふ」の「させ」は使役の意味で、ともに亡き妻のことを懐かしんでほしいと、長家が枇杷殿に強く訴えていることを表している。

というのがありました。

①の「妻の描いた絵を枇杷殿へ献上していたことを振り返って、そうしておいてよかった」までは本文の前の部分を読めばよいのですが、「長家がしみじみと感じていること」は一見本文には見つかりません。これは「ける」つまり回想・詠嘆の助動詞「けり」の文法問題です。この選択肢はそれを確認しているわけで、この①が正解です。②は現古異義語の知識で、「お考え残しのことはない」=「ありとあらゆることをお考えになる」で、現代語につられて「思い残すことはない」と間違える人を誘うワナです。③は接続助詞に準じてつかう連語「ままに」=「……につれて、……なので、……にまかせて」の知識を問う文法問題。④は「よろづにつけて」=「さまざまなことに関して」≒「日常のあれこれの機会に」で語彙の問題。⑤は使役・尊敬の助動詞「さす」の二重敬語「させたまふ」の用法をしっているかを確認する文法問題となっています。
続く。。。
記:国語科 佐谷健児