現代は時間との闘い。入試も時間との闘い。

北大前期の二次試験において,数学は大問5題を120分で解きます。ですから,それなりに考える時間もとれます。一方で,理科は1科目あたり75分で多くの問題を解いていかなければなりません。特に化学は,大問3題といいながら,それぞれの大問が2つのパートに分かれているので,実際には大問6題を75分で解くのに等しいわけです。ですから,理科の演習においては,「時間に追われる」ことが必要不可欠なのです。

予備校でも後期授業が進み,物理・化学では実際の入試問題の演習を中心とした授業を行っています。そこで,私は「時間」にものすごくこだわっています。自習においても,時間を計るということは重要ですが,同じ時間を計って問題を解くにしても,一人だけでやるのと,集団の中でやるのとでは,雰囲気や緊張感が違ってきます。

時間を計って演習するうえで,気にかけてほしいことは,以下の二つです。
 第一に,限られた時間内で合格点を取るためにはどうすればいいかを考えるということです。満点を取らなければならない入試はまずありません。言い換えれば,落としたところで合否に影響しない問題もいくつかあります。そのような問題に時間を費やすのは無駄でしかありません。短い時間で,取らなければならない問題,取らなくてもいい問題を取捨選択することが,合否を大きく分けるのです。また,問題を解く順番も点数に影響することがよくあります。私の場合,化学の中では有機化学が得意だったので,入試本番では後ろの方にありがちな有機化学をさっさと片づけて,前の方の問題にじっくり取り組むのが定石でした。

 第二に,取れる問題をミスなく解けるようにするということです。生徒が解いた答案を採点していてよく目につくのが、「出題者の要求に従っていない」答案です。記号や番号で答えるべきところを語句で答える,Clと答えるべきところをCl2と答えるなど,例を挙げればキリがありません。このようなミスは,やはり時間に追われることで生じがちです。入試は1点を争う勝負ですから,もったいないミスが致命傷になることも十分にあり得るのです。

 繰り返しますが,入試は点取り勝負です。そして,志望校合格に必要なのは知識や正しい解き方だけではありません。今後の授業では,合格点を稼ぐための戦略なども話していく予定です。
記:数学科 新保幸希