絶対大丈夫……なハズはないけれども。

いよいよ受験の本番が近づいてきました。一年頑張ってつけた実力だけれど、いざ試験となるとつい不安になってしまい、そのためにせっかくの実力を発揮できないということがおこります。落ち着いて解きさえすれば解けるものが試験場の雰囲気にのまれてしまい、帰ってからナンダこんなの解けるじゃないか、と気づくケースです。こういう場合、しばしば言葉の力が助けになります。
個人的趣味で恐縮ですが、40数年来のスワローズファンで、今年は6年ぶりのリーグ優勝、20年ぶり日本一ということでちょっとウレしい今日この頃です。
さて、そのスワローズの今年の今年の名言が「絶対大丈夫」です。連敗があって優勝戦線から脱落しそうだった9月のミーティングで高津監督がいったというこの言葉は、その後の連勝と、最後の一ヶ月での逆転優勝を呼びこみ、グッズにまでなってしまいました。これは、最後の勝負を控えた受験生にも役に立ちそうな話です。
実は、私は、最初この言葉を聞いたときに少々違和感を感じました。高津監督という人は野村監督の御弟子さんで、そうなると勝負に絶対などということはないことは百も承知で、選手のみんなもそれは理解しています。特に不安の生じる場面で無闇に「大丈夫」などといいきかせると却って不安が大きくなるから、寧ろ不安を不安と認めて書き出すくらいのほうがよいというのは心理学の教えるところではあります。ヘンだなと思ってよく調べてみるとそういうことではないうようです。
監督がまず話したのは、かつて野村監督が日本シリーズ最終戦の直前に、チームみんなを集めたミーティングで、「やれることはみんなやっておこう、対策はちゃんとしよう、それでも勝負は時の運だから、勝つか負けるかはわからない。でも、勝つに相応わしい準備だけはして、人事を尽くして天命を待とう」と言ったという話でした。つまり、根拠なく「絶対大丈夫」というわけではなく、ここまでやってきた自分自身を振り返り、足元をみつめて、共に戦ってきた仲間を信じて、コーチを信じ、チームが一枚岩であるかぎり、自分たちは決して崩れることはない。だから絶対大丈夫だ。という話でした。
そういうことならと理解しました。不安になったら、自分たちが今までやってきたこと、研鑽しあった仲間たち、受けた指導のことを思いだして、全力をともかく尽くせばよいというわけです。また、そのために今できることはやっておこう、それを尽くした結果なら吉とでようと凶と出ようと天命に任せればよい。またそう思えるだけ準備はしておこうということでした。
というわけで、今年の言葉は「絶対大丈夫」です。
記:国語科主任 佐谷健児