勝負に赴くあなたへ
共通試験も直前、何か私も役に立つことを言えれば良いのですが、普段関わっていない人間が通り一遍な言葉を言ったところで、却って短絡的な思考を助長しているようで好きじゃありません。
でも敢えて言えるとするなら、共通試験もただの一つの試験でしかないです。英語もそのうちの一科目でしかないし、皆が嫌いなリーディング大問[4][5]だっていくつかの設問の集まりでしかない。共通試験は人生の一大イベントでもなければ、一年間の締めくくりでもない。
入試で失敗する最大の要因は自滅です。粘り強さや受かりたいという意志が強い人が勝つというのは事実ですが、それは大局を見ずに些末なことに拘って、それが取れないからと自分で自分を追い詰めることとは違います。共通試験の英語のような全体視と焦点化を行き来するものに対して、過度な思い入れは危険です。
私は今でこそ英語講師をやっていますが、中学の時は警察官になりたかったし、大学受験の時は国語は9割に届きましたが、英語は結局届きませんでした。大学院では教育心理を勉強したくて転部して同調圧力と風土作り、カウンセリングを学びました。その後は理事長のご厚意もあって運よくここに拾ってもらえましたが、最初は講師をやりながら事務みたいなことをやっていました。この先細りの業界、贅沢な暮らしは出来ませんが、まあなんとか生きていけています。
最近読んだ中で一番面白かったのは西アフリカで問題になったサバクトビバッタの群生相と孤独相の相変化についてでした。何代も重ねて環境に適応していく進化と違って、サバクトビバッタは一代で行動を変えて、環境に適応した相を持つ子どもを産みます。普段は餌の取り合いで傷つかないように個体同士で距離を取り合うサバクトビバッタは、環境の変化で一定の範囲内の餌が増えて同種の密度が高まると体色を変え、性格を変え、行動を変えます。その次の代では身体の作り自体が変わるんですよ。適応力ヤバない?
少し話が逸れましたが、要は、人生って何とかなります。それでも自己最高点を取りたいのなら、視野狭窄にならず、拘泥せず大局を見て行動してください。自分を追い詰めず、気負わず、リラックスして。まず自分の取れる点数を取ってくるだけ。
二次試験対策で待っています。
記:英語科 許士祐之進